日本のマフィンはアメリカンスタイル!?
このお菓子は、アメリカあたりではたいそう好まれています。アメリカ文化に席巻
されている感がなきにしもあらずの日本でも、今やスコーンなどとともにすっかり
おなじみのアイテムになっています。読者の中にもこれに魅了されている方が少な
からずおられるのではないでしょうか。
ところで、このマフィンなるスイーツの発祥は、アメリカではなく実はイギリスなの
です。なお、発祥地では、もう少し違う形に作られています。われわれが今頭に思
い浮かべる、おなじみのものは、あくまでもアメリカンスタイルのマフィンというわけ
です。ではそのあたりを少々立ち入ってご説明いたしましょう。
そもそもをたどると、その昔、ヴィクトリア王朝時代のイギリスでもてはやされた
ことから火がついて、次第に多くの人々がその魅力にとりつかれていったと推定さ
れます。
その頃は、マフィン・トレイと呼ぶ器にマフィンを乗せて緑色の布をかぶせ、これ
を頭に乗せたマフィン売りが街を回ってきたといいます。娯楽の多くはなかったこ
の時代、その出現は人々の大いなる喜びであったようです。なんとなくのどかでほ
のぼのとした、それでいて生き生きとした街の様子、人々の暮らしぶりが伝わって
くる情景ではありませんか。
ちなみにそんなイギリスの古典的なマフィンは、パンケーキのようにテンパンの
上で両面を焼いて作られます。一方、イギリスから伝えられたアメリカでは、もっ
ぱら型やカップを使用して焼き上げています。そして、イーストかベーキングパウ
ダーを使ったベースの生地をもとにして、さまざまなものが楽しまれています。例
えば、アーモンドやくるみなどの各種ナッツ類を混ぜたものや、ラムレーズン、ドラ
イフルーツ類を混ぜたもの、チョコレート味のものなど、いかにもアメリカ人好みの
マフィンが作られています。前述のように、日本でもそうしたものが、アメリカ指向
の強いカジュアル感覚の世代やOL、ヤングミセスの方々にうけています。
さて、ここでは、イギリス発のお菓子であることもわきまえつつ、あえてアメリカン
スタイルのマフィンをご紹介いたしましょう。アガサ・クリスティーも感覚的には進ん
でおられた方、おそらくチョコチップ入りのこんなものを口に運びながら、いくつも
の名作を手掛けていたのでは・・・・・・。
なおここでは、紙カップを用いて作りましたが、もしそれがなかったら、ご家庭に
あるさまざまな菓子型、あるいはティーカップや茶碗等、手近なものをご利用くだ
さい。どれで作ろうとおいしさに変わりはありません。また、生地の味付けやフィリ
ングについても同様、ご随意に。例えばインスタントコーヒーを濃い目に溶いて混
ぜてコーヒーマフィンにしてみたり、紅茶の葉をそのまま生地に混ぜて焼いた紅茶
マフィン、フードプロセッサーにかけたにんじん入り、などというのも面白いところ。
お菓子作りのレパートリーがいよいよ広がってくることでしょう。
文献:吉田 菊次郎 編・著 「クリムとドリムの冒険」偉人が愛したスイーツ